関係構造図 (英:network of interrelations, 独:Beziehungsgeflecht)

ドイツの地球環境変動諮問委員会(BWGU)は1990年代,地球環境変動に対する戦略構築論としてシンドロームアプローチ(Syndrome Approach)を開発し,複雑な事象を整理するために関係構造図を用いました。

この関係構造図は地理教育の根幹ともいえる「人間と自然の関係」を可視化するツールであるため,本研究会では積極的に活用しています。

本国ドイツの地理の授業でも用いられています。

地理教育上の特徴

・関係構造図:地球環境問題や地域課題を,「自然と人間の関係性」という観点から捉えるツールである.

・地理教育において重要となる,地人相関論や人間自然相互関係といった地理的見方・考え方を具体化するツール

・現代世界における非常に複雑な「自然と人間の関係性」を理解し考えるためには,図を用いたシステム思考が必要.

関係構造図の利点

「自然と人間の関係性」という地理的な見方に即した区分ができる

 

問題の認識

・問題を生み出す「構造」(要素の関係性)を可視化できる

・要素の「つながり」を辿ると,問題発生の「プロセス」を明らかにできる(問題のプロセスを認識することは解決の第一歩)

 

・要素の「つながり」を辿ると,問題全体における各要素の役割(「機能」)を明らかにできる(どの要素を改善(介入)したら問題は解決に向かうかを判断する際に役立つ)

 

問題の解決策の考案

・順応的な解決策を考えるためのツールとなる(問題解決のために、「ずらす」べき関係性を可視化し考える※順応的ガバナンス)

 

 

ダウンロード
関係構造図.pptx
Microsoft Power Point プレゼンテーション 2.9 MB

活用手順(例)

・地理的な要素や課題を整理するための枠組み.

・地理的な要素や課題は,自然(上部4圏)と人間社会(下部5領域)に区分して整理することができる

 

・圏や領域といった区分に従って,地理的な要素などを配置する:事象や問題の「構造」を把握する.

・要素間の関係性を線で結ぶ:事象や問題を生み出す「関係」を把握する.

 

(問題が把握できた後に考えること)

・そのまま放置するとどうなるのか?(非介入)

・どう(少しずつ)変えることができれば,持続可能な状態へと向かうのか?(調整する)

・強力な解決策を講ずるのではなく,構造を変える(事象の関係性をずらす)ことで問題を動かし解決へ向かわせる.

 

・ドイツで開発された*.ドイツのESD(持続可能な開発のための教育)の学習方法として取り上げられ,地理教育でも活用される.

 

ずらす・・・問題の組み換え(参考キーワード「順応的ガバナンス」宮内泰介

その他のモデルツールの違い

ウェビングマップ,ネットワーク図,チャート図

 

利点

・アイデアを拡散させるようなブレインストーミングに向いている

・物事のつながりが意識される

 

課題

「地理の見方・考え方」を育むか不明

表現ツールではあるが,思考ツールとして活用することが困難

・要素が平板かつランダムに配置されるため,要素の重要度が読み取りにくい

・異なる2つの課題をモデル化した場合,共通の基準や枠組みがないため比較が困難

その他

ドイツ環境変動諮問委員会
ドイツ環境変動諮問委員会

(個人的な動機)

受験勉強の時期に、世界地誌の内容を自分なりにまとめるにあたり気候や大地形から整理をはじめ、水文環境から人の集住や人口を考え、植生から農業や産業を考え、それでは説明できないものを政治や技術で補いながら、ストーリーとして暗記した。聞いたところでは,多くの人がそう勉強していた。大学に入るとこれは環境決定論というダメな考え方らしいことがわかった。…しかししばらく地理教育を勉強してみると、これは環境決定論や可能論ではなく、システム論であることがわかった。